新ファンド 楽天・テック12とは?|FANG+への新たな刺客
楽天・テック12という新しい選択肢
米国の大型テック企業へ集中投資する商品といえば、これまでは「iFreeNEXT FANG+インデックス」が代表的な存在でした。
NASDAQ100よりさらに銘柄数を絞り、成長企業へ集中する。
かなり分かりやすい商品です。
そんな中、2026年9月25日に新しく設定されるのが、
「楽天・米国テクノロジー株式集中投資インデックス・ファンド」
愛称は、
「楽天・テック12」
です。
最初に名前を見たときは、
「FANG+を12銘柄にしたような商品かな」
くらいに思っていました。
しかし、構成銘柄やウェイト、銘柄入れ替えのルールまで見ていくと、FANG+とはかなり違います。
さらに、同じ集中型ファンドとして「メガ10」も比較してみると、それぞれの考え方がかなりはっきりしてきました。
今回は楽天・テック12について、FANG+やメガ10と比較しながら見ていきます。
※記事内の情報は2026年9月時点です。
楽天・テック12とは?
楽天・テック12は、
米国の超大型テクノロジー企業12社へ集中投資するインデックスファンド
です。
連動を目指すのは、
「Solactive・米国超大型テクノロジー株式12指数」
です。
NASDAQ市場に上場する米国企業のうち、金融セクターを除く時価総額上位100銘柄を母集団とし、そこからテクノロジー関連企業を抽出。
時価総額上位12社を採用します。
特徴的なのは、その配分です。
時価総額上位7銘柄は、
各12%
残り5銘柄は、
各3.2%
となります。
つまり、
上位7銘柄だけで84%。
12銘柄に投資するファンドではありますが、実態としてはかなり集中度の高い商品です。
信託報酬は年0.462%。
設定日は2026年9月25日で、原則として為替ヘッジは行いません。
FANG+・メガ10と比較
同じような集中型の商品として、FANG+とメガ10を並べてみます。
| FANG+ | メガ10 | 楽天・テック12 | |
|---|---|---|---|
| 銘柄数 | 10 | 10 | 12 |
| 基本配分 | 10%ずつ | 10%ずつ | 上位7社12%、残り5社3.2% |
| 見直し | 年4回 | 年4回 | 年4回+大型IPO時 |
| 特徴 | 成長企業を選抜 | 成長性+時価総額 | 超大型テック重視 |
| 信託報酬 | 0.7755% | 0.385% | 0.462% |
FANG+は10銘柄へ均等投資します。
原則としてMeta、Apple、Amazon、Netflix、Microsoft、Alphabetの6社を組み入れ、残り4銘柄を時価総額や売買代金、PSR、売上高成長率などから選びます。指数は四半期ごとに見直されます。
一方、メガ10は米国大型株の中から利益成長率や売上高成長率を評価し、その候補群から時価総額上位10社を選ぶ仕組みです。
2026年9月にはTeslaが外れ、Micron Technologyが新たに組み入れられました。
同じ10銘柄集中でも、考え方はかなり違います。
構成銘柄を見ると違いが分かりやすい
FANG+と楽天・テック12には、
NVIDIA、Microsoft、Apple、Amazon、Alphabet、Broadcom、Meta、Micron Technology
など、多くの共通銘柄があります。
そのため一見すると、かなり似た商品です。
しかし違いが出るのは、それ以外の部分です。
FANG+には、
NetflixやPalantir
が入っています。
一方、楽天・テック12には、
SpaceX、AMD、Tesla、Cisco
などが入っています。
FANG+は企業を選抜して10%ずつ持つ。
楽天・テック12は、時価総額の大きなテック企業をより濃く持つ。
同じ集中型でも、思想はかなり違います。
メガ10は「テック10」ではない
もう一つ面白いのがメガ10です。
名前だけを見ると、巨大テック企業10社に投資するようにも見えます。
しかし2026年9月時点の構成には、
Visa、Mastercard、Eli Lilly
も入っています。
つまり、メガ10はテック企業へ集中する商品ではありません。
あくまで、
成長性の高い米国大型株10社
を選ぶ商品です。
利益成長率と売上高成長率を使って候補銘柄を選び、その中から時価総額上位を採用します。
既存銘柄については時価総額順位が13位以内なら残留できる仕組みもあり、頻繁な入れ替えを抑える設計になっています。
楽天・テック12最大の特徴は「大型IPO」
個人的に楽天・テック12で一番面白いと思ったのが、大型IPOへの対応です。
通常は年4回の銘柄見直しですが、
一定規模の大型IPOが発生した場合、定期見直しを待たずに臨時で銘柄を入れ替える仕組み
があります。
実際、2026年6月12日にNASDAQへ上場したSpaceXでは、通常の定期見直しを待たず臨時リバランスが実施されました。
これは今後を考えるとかなり興味深い仕組みです。
例えばOpenAIやAnthropicのような巨大AI企業が将来上場し、指数の条件を満たした場合、かなり早い段階で楽天・テック12へ組み入れられる可能性があります。
しかも時価総額上位7社へ入れば、
12%という主力級のウェイト
になる可能性があります。
ただし、早く組み入れることが必ずしもメリットとは限らない
ここは注意したいところです。
大型IPOをすぐ取り込めると聞くと、
「成長企業を早く買える」
というメリットばかりに目が行きます。
しかし上場直後は、まだ株価の価格形成が安定していない時期でもあります。
期待先行で高値をつけることもあれば、その後大きく下落することもあります。
そして楽天・テック12の場合、その企業が上位7社へ入れば12%。
仮に12%を占める銘柄が組み入れ後に50%下落すれば、単純計算ではその1銘柄だけでファンド全体を約6%押し下げます。
つまり、
成長を早く取り込める代わりに、上場直後のボラティリティも早く引き受ける。
大型IPOへの早期対応は、メリットとリスクが表裏一体です。
FANG+は上場後すぐには入らない
FANG+はこの点でかなり違います。
新規採用候補になるには、対象銘柄が少なくとも60日間取引されている必要があります。
さらに銘柄選定は四半期ごとです。
そのため、巨大IPOだからといって上場直後にFANG+へ入るわけではありません。
楽天・テック12より動きは遅くなりますが、
上場直後の荒い値動きをある程度やり過ごしてから選ぶ
とも考えられます。
どちらが正しいというより、
新しい企業をどのタイミングでポートフォリオへ入れるか
という考え方が違います。
メガ10はさらに定期見直し型
メガ10はさらに慎重です。
年4回の定期見直しで銘柄を変更し、指数ルールでは通常の臨時リバランスを行わない設計です。
また、まず成長性を評価した候補銘柄群に入り、そこから時価総額上位を選ぶという二段階の選定になっています。
巨大IPOを最速で取り込むことを目的とした商品ではありません。
この3本を簡単に表すなら、
楽天・テック12はスピード重視。
FANG+は選抜重視。
メガ10は確認重視。
という感じでしょうか。
信託報酬ではFANG+が気になる
3商品を並べたとき、もう一つ気になるのがコストです。
FANG+は年0.7755%。
楽天・テック12は年0.462%。
メガ10は年0.385%。
FANG+と楽天・テック12では約0.31ポイント。
メガ10との差は約0.39ポイントあります。
もちろん、信託報酬だけでファンドの良し悪しは決まりません。
売買委託手数料や保管費用なども発生するため、本来は実質コストまで見る必要があります。
特に楽天・テック12は新設ファンドなので、現時点では実際の運用報告書がなく、隠れコストを含めた実質コストはまだ分かりません。
それでも、表面上0.3ポイント以上違うとなると無視しにくい差です。
3本を並べると、
「このコスト差を払ってでもFANG+の銘柄選定ルールを選びたいか」
という点は以前より気になるようになりました。
公式のバックテストは参考程度に見る
楽天は、2021年6月30日から2026年6月30日までの期間について、楽天・テック12の対象指数とFANG+、NASDAQ100、S&P500を比較したシミュレーションを公開しています。
条件は米ドルベース、ネットトータルリターンです。
このシミュレーションでは楽天・テック12の指数が良好な結果となっています。
ただし、これは実際の楽天・テック12の運用実績ではありません。
現在の指数ルールを過去に当てはめたバックテストです。
しかも楽天自身も、
実際の運用結果はシミュレーションと大幅に異なる可能性がある
と明記しています。
新しく作られた指数のバックテストを見るときは、
「過去にこれだけ上がったから今後も強い」
ではなく、
「こういうルールを過去に当てはめると、この結果になった」
くらいに見ておいた方がいいと思っています。
個人的にはFANG+の立ち位置が少し変わった
今回3商品を比較してみて、個人的には以前よりFANG+の優位性が少し見えにくくなりました。
FANG+が悪い商品になったわけではありません。
10社均等配分という分かりやすさがありますし、Palantirのような企業を10%持てる独自性もあります。
ただ、
メガ10なら0.385%。
楽天・テック12なら0.462%。
そこにFANG+の0.7755%を並べると、やはりコスト差は気になります。
逆にいえば、FANG+を選ぶなら、
FANG+独自の銘柄選定そのものに価値を感じるか
が重要になってきそうです。
ただ、楽天・テック12もかなり尖っている
では楽天・テック12が一番いいのかというと、そこも簡単ではありません。
上位7銘柄だけで84%。
かなり集中しています。
さらにS&P500やNASDAQ100をすでに持っている場合、
NVIDIA、Microsoft、Apple、Amazon、Alphabet、Broadcomなどは、すでにポートフォリオの中にかなり含まれています。
そこへ楽天・テック12を追加するということは、
新しい資産へ分散するというより、
すでに持っている巨大テック企業の比率をさらに引き上げる
という意味合いが強くなります。
個人的には、コアにするタイプの商品ではないと思っています。
使うとすれば、
S&P500やNASDAQ100をコアにして、その上に少額を乗せるサテライト。
そのくらいがしっくりきます。
まとめ
楽天・テック12を最初に見たときは、
「FANG+を少し変えたような商品」
だと思っていました。
しかし調べてみると、かなり性格が違います。
FANG+は、選ばれた成長企業10社を均等に持つ。
メガ10は、成長性を評価した大型株10社を低コストで均等に持つ。
楽天・テック12は、その時代の巨大テック企業を濃く持ち、新しい巨大企業が登場すれば早い段階で取り込む。
特に大型IPOへの対応は、楽天・テック12ならではの面白い特徴です。
ただし、
早く取り込めることは、上昇だけでなく上場直後の荒い値動きまで早く取り込むことでもあります。
さらに上位7社で84%という集中度を考えると、かなり尖った商品です。
そのため、私の中では、
コアではなくサテライト候補。
という位置づけです。
それでも、FANG+より低い信託報酬と大型IPOへの機動性を考えると、
これまで「集中型ならFANG+」と考えていた人にとって、
楽天・テック12はかなり気になる新しい選択肢になりそうです。
