リスク許容度とは何か、なぜ人は途中でやめてしまうのか
はじめに
長期投資は続けることが大事だと言われています。
ですが実際には、ほとんどの人が途中でやめてしまいます。
日本の投資信託の平均保有期間は約3年。
20年の長期投資が前提と言われている中で、この数字はかなり短いと言えます。
ではなぜ、人は途中でやめてしまうのでしょうか。
結論:リスク許容度は「慣れ」で決まる
結論から言うと、リスク許容度は
どれくらい下がるかではなく、
その下げにどれだけ慣れているか
で決まる部分が大きいと思っています。
そしてその感覚は、
実際に積立を続けていく中でしか身につかないものです。
最初の1年は意外と続く
意外かもしれませんが、投資を始めてから最初の1年は継続率が高いと言われています。
新NISAの調査でも、約8割以上が売却せずに継続しています。
つまり、
問題は始めることではなく、続けることです。
なぜ3年前後でやめてしまうのか
統計を見ると、多くの人が3年前後でやめています。
理由はいくつかありますが、大きく分けると2つです。
① 利益が出たからやめる
3年ほど経つと、運が良ければある程度の含み益が出ます。
そこで
・一度利益を確定したくなる
・これ以上下がるのが怖い
・今のうちに逃げておこう
という心理が働きます。
ですがこの時点で売ってしまうと、
長期投資の一番おいしい部分を取る前に降りている可能性があります。
② 下がったからやめる
逆に、下がった場合も同じです。
・思っていたより下がる
・怖くなる
・もう無理だと感じる
ここでやめてしまう。
つまり
上がってもやめるし、下がってもやめる
のが現実です。
リスク許容度は「想像」では測れない
多くの人は
・20%くらいの下落なら大丈夫
・長期なら耐えられる
と考えます。
ですがこれは
実際に経験していない状態での想像です。
いざ資産が
・数十万円減る
・数百万円減る
となった時に、同じ判断ができる人は多くありません。
リスク許容度は「慣れ」でできている
同じ10万円の下落でも、1回目より10回目の方が平気に感じるのには理由があります。
これは単なる慣れではなく、人間の感じ方の仕組みも関係しています。
人はもともと、同じ金額でも「得」より「損」の方を強く感じるようにできています。
10万円儲かった時よりも、10万円損した時の方が強く印象に残るのはそのためです。
だからこそ、最初の下げは強烈に感じます。
一方で、回数を重ねると少しずつ感覚が変わっていきます。
最初は大きく感じていた10万円の下落も、
何度も同じような値動きを経験していくうちに、その痛みは弱くなっていきます。
さらに、資産が増えてくると
「いくら減ったか」ではなく「何%減ったか」で捉えるようになります。
例えば、
・資産100万円で10万円減る(−10%)
・資産1,000万円で10万円減る(−1%)
同じ10万円でも、感じ方は全く違います。
これは、人間が絶対的な金額ではなく、全体に対する割合で物事を捉えるようになるからです。
そしてもう一つ大きいのが「慣れ」です。
最初の下落では
「このまま資産がなくなるかもしれない」
と強く不安を感じますが、何度か下落と回復を経験すると
「また下がったけど、そのうち戻るだろう」
と考えられるようになります。
さらに、経験を重ねると、自分の中の基準も変わっていきます。
最初は「元本」が基準ですが、
そのうち
・昨日の評価額
・過去の最大下落
といったものが基準になっていきます。
つまり、
同じ下げでも、見ている位置が変わることで感じ方が変わっていくということです。
最初は「崖」だったものが、経験を重ねるうちに「ただの坂」に見えるようになる。
私はこれがリスク許容度の正体だと思っています。
なぜ途中でやめてしまうのか
ここまでをまとめると、
やめてしまう理由はシンプルです。
想定していたリスクと、実際に感じるリスクが違うからです。
頭では理解していても、
実際に体験すると耐えられない。
これが現実です。
長期投資で一番重要なこと
以前の記事では、積立投資で最も大事なのは「出口」だと書きました。
これは今でも変わりません。
ただ、その出口戦略に辿り着くためには、途中でやめないことが前提になります。
どれだけ優れた設計をしても、途中でやめてしまえば意味がありません。
長期投資で重要なのは
商品選びでも
タイミングでもありません。
途中でやめないことです。
そのために必要なのは
・自分に合ったリスクを選ぶこと
・無理のない金額で投資すること
・事前にルールを決めておくこと
だと思っています。
まとめ
統計を見ると、多くの人が3年前後で投資をやめています。
長期投資が前提であるにもかかわらず、です。
つまり
長期投資は誰でもできるものではなく、
続けられる人だけが結果を出せる投資です。
リスク許容度とは
「どれくらい下がるか」ではなく
下がった時にどう行動できるか
で決まります。
そしてその感覚は
積立を続けていく中でしか身につかないものだと思っています。
