金ETFが独歩高、恐怖指数低下と矛盾する市場心理

エクラ
GLD (金(ゴールド)) 週間チャート

きょうの資産状況

項目9月2日 終値時点
前日比+78,572円(+0.74%)
含み損益率+38.35%

※ 投資信託の基準価額ベースの実測値です。基準価額は約定日の夕方に確定するため、この記事が扱う前夜の米国市場の値動きはまだ反映されていません。

Fear & Greed Index

本日の注目銘柄:金(ゴールド)(GLD)

ビットコインが7万ドル台に沈む一方、金ETFは+1.52%と独歩高。Fear & Greed指数も33の「恐怖」水準に沈む中、安全資産への資金シフトが鮮明に。

AIインフラ投資の熱狂とコスト警戒の同居

本日の米国市場はAI関連の巨額投資ニュースが相次ぎました。AnthropicはNvidiaが出資するLambdaと新たに350億ドル規模のクラウド契約を締結したと報じられており、これはSpaceXとの450億ドル、Fluidstackとの500億ドルに続く契約で、単純合算でも1300億ドルを超える規模になります。同社は大型IPOも計画しており、今後の米国上場カレンダーに大きな存在感を示すことになりそうです。ただし、これだけの規模の契約が積み上がる中で、実際の需要に見合った採算が取れるのか、資金調達の持続可能性はどうなのかという点は、現時点では検証のしようがなく、AI業界全体の「投資先行・収益後追い」というリスクを念頭に置く必要があります。

株式市場では、Nvidiaが本日4.7%超の上昇を記録した一方、対照的な動きを見せた銘柄もありました。光・電気インターコネクト製品を手がける半導体関連企業のCredo Technology、データベースソフトのMongoDB、セキュリティソフトのPalo Alto Networksは、いずれも四半期決算で市場予想を上回る結果を示したにもかかわらず、コスト増加への懸念から大きく売られました。これらは業種としてはハードウェア(インターコネクト半導体)とソフトウェアにまたがっており、単純に「ソフトウェア企業が苦戦している」と一括りにはできません。むしろ浮かび上がるのは、AI関連の設備投資自体はNvidiaのような特定のプラットフォーマーに恩恵が集中する一方、AIを実装・運用する側の企業は先行コストの増加が収益を圧迫しているという構図です。この分断が一時的な決算シーズンのノイズなのか、より構造的な傾向なのかは、今後数週間の決算・ガイダンスを追う必要があります。

また、YouTubeがAmazonと提携し、動画内でAmazon商品をタグ付けできる新機能を導入したことも報じられました。広告収入に依存してきた動画プラットフォームがEC取引からの手数料収入という新たな収益源を取り込もうとする動きであり、テック大手が消費者接点をめぐって業態の垣根を越えて競合し始めている一例といえます。

一方、原油市場では米国とイランの緊張再燃を背景にホルムズ海峡リスクが再評価され、原油ETF(USO)は続伸しました。これは単発の動きではなく、過去7日間1割を超える急騰トレンドの延長線上にあり、後述するインフレ動向への波及を注視する必要があります。インドではLNG輸入が前年比40%増と6年ぶりの高水準となり、価格高騰下でもエネルギー需要が底堅いことが確認されています。米国のガソリン・光熱費インフレを考える上でも、新興国の旺盛なエネルギー需要は無視できない需給要因です。

強気材料と弱気材料が綱引きする資金フロー

本日は大型株・小型株ともに堅調で、なかでもラッセル2000は他の主要指数を上回るペースで上昇しました。国内景気敏感株への資金回帰を示唆する動きではありますが、ラッセル2000は直近7日間ではむしろ横ばいからやや軟調な推移をたどっており、本日一日の上昇だけで明確なトレンド転換と判断するのは早計です。今後数日、同様の強さが続くかどうかを見極める必要があります。

半導体ETF(SOXX)はNvidiaの急伸ほどには反応せず、小幅な上昇にとどまりました。過去7日間30日間とも下落基調が続いていることを踏まえると、AI投資の恩恵がセクター全体に均等に波及しているとは言い難い状況です。ただし、これはSOXX構成銘柄全体の値動きを精査した上での結論ではなく、Nvidiaという一銘柄の突出した動きとの対比から浮かび上がる「印象」に近い点は留保しておきます。

VIX先物ETF(VIXY)は本日も大きく下落し、過去30日間2割を超える下落トレンドが継続しています。これは投資家心理の落ち着きを示す材料と読むこともできますが、一方で米イラン間の緊張再燃、原油の急騰、米10年債利回りの高止まり(4.79%)といった不安材料が同時に存在しており、VIXYの下落だけをもって「警戒心が和らいでいる」と結論づけるのは単純化しすぎでしょう。むしろボラティリティ指標と実体経済・地政学リスクの間に一定の乖離が生じている可能性があり、この乖離が今後解消される方向(株安)に振れるのか、リスクが杞憂に終わる方向(現状追認)に振れるのかは、9月の重要イベントを通過するまで見極めが必要です。

金ETF(GLD)は過去7日間の下落から反発しました。地政学リスクの再燃を受けた保険的な買いという見方もできますが、米10年債利回りが高止まりする局面での金上昇は本来説明が難しい組み合わせであり、短期的な需給や個別の資金フローによる可能性も排除できません。ドル指数ETF(UUP)はわずかに下落し、金・原油といったコモディティへの支援材料となっています。

なお、米10年債利回りの高止まりは株式市場の話にとどまりません。30年固定住宅ローン金利はすでに6.66%まで上昇しており、ケース・シラー住宅価格指数の伸びにも影響を及ぼし始めている可能性があります。株式市場の「堅調さ」の裏側で、金利敏感セクターである住宅市場には逆風が続いていることは、資産配分を考える上で見落とすべきではないポイントです。

FOMCの内部対立とタカ派修正が示す利下げ後退シナリオ

7月29日のFOMC声明では、政策金利は3.50〜3.75%で維持され、9対3の票決となりました。ハマック総裁(クリーブランド連銀)、カシュカリ総裁(ミネアポリス連銀)、ローガン総裁(ダラス連銀)の3名が0.25%の利上げを主張して反対票を投じており、FRB内部の意見対立がなお根深いことを示しています。声明文は中東情勢による不確実性を明記しつつも、経済活動は「引き続き堅調に拡大している」と評価し、インフレについては「エネルギーなど一部部門での供給ショック」を要因として挙げました。

注目すべきは、この3名のうちハマック総裁が9月3日に発言を予定していることです。反対票を投じたタカ派の当事者が、原油急騰という新たな供給ショック材料が浮上した直後にどのような発言をするかは、市場の金利観に直接影響しうるため注視が必要です。同日にはウォラー理事の発言、ISM非製造業景況指数の発表も控えており、9月3日は雇用統計の前哨戦として重要な一日になりそうです。

6月17日発表の経済見通し(SEP)では、2026年末の政策金利中央値が3.80%へ上方修正され、3月時点から0.40ポイントの引き上げとなりました。これは利下げ回数にして約2回分の後退を意味し、市場が期待していたペースよりも金融緩和が遅れる可能性を示しています。コアPCEインフレ率見通しも2026年末で3.3%へ上方修正されており、FRBがインフレの粘着性を強く警戒していることがうかがえます。原油価格の急騰トレンドがこのSEPのタカ派修正をさらに正当化する方向に働く可能性がある点は、株式市場の楽観ムードとは逆方向のリスクとして意識しておきたいところです。

9月4日雇用統計:二つのシナリオと住宅市場への波及

9月4日には8月分の雇用統計が発表されます。平均時給は前月比0.3%、前年比3.0%への鈍化が予想されており、前回の3.2%からの減速が確認されれば、賃金主導のインフレ圧力が緩和したとの解釈につながり、株式市場にはポジティブに働く可能性があります。

一方で、原油急騰という新たな供給ショック要因が顕在化している中、賃金の伸びが予想に反して高止まりした場合は、SEPで示されたタカ派的な金利見通しをさらに補強する材料となり、株式市場が織り込んでいる「利下げ再開」への期待が後退するリスクシナリオも想定しておくべきです。失業率は4.1%で横ばいの予想ですが、SEPが示す2026年末見通し4.3%とのギャップをどう埋めていくのか、また労働参加率やU6失業率(不完全雇用率、前回7.9%)といった雇用の「質」を示す指標にも目を配ることで、単純な失業率の数字だけでは見えない労働市場の緩みを確認できます。

まとめ:分岐点で問われる投資家の視点

本日の市場はVIXYの急落に象徴される投資家心理の落ち着きを背景に、大型株・小型株ともに堅調な展開となりました。しかし米10年債利回りの高止まり、原油急騰、SEPのタカ派修正、そしてFOMC内部の意見対立という弱気材料は依然として存在しており、株式市場の楽観と債券・金融政策サイドの警戒感は必ずしも整合的ではありません。この矛盾がどちらの方向に解消されるかが、9月相場の分岐点になると考えられます。

読者の皆さんには、次の3点を注視することをお勧めします。第一に、9月3日のハマック総裁・ウォラー理事の発言内容から、原油急騰後もタカ派姿勢が維持されるかどうか。第二に、9月4日の雇用統計で賃金インフレが本当に鈍化するのか、それとも高止まりするのかという二つのシナリオ。第三に、AI関連の巨額投資がNvidiaのような一部企業に恩恵を集中させ続けるのか、それとも決算シーズンを通じてより広いセクターに波及していくのか。これらが噛み合うかどうかを見極めながら、筆者自身もポートフォリオにおける株式・コモディティ・現金比率を再点検していきたいと考えています。

直近の主要経済指標

指標名最新値基準日
FF金利(実効)3.63 %2026-08-01
米国10年債利回り4.79 %2026-09-01
CPI(全米・季節調整済)332.81 ポイント2026-07-01
失業率4.10 %2026-07-01
実質GDP(年率換算)32,486.07 十億ドル2026-04-01
30年固定住宅ローン金利6.66 %2026-08-27
ケース・シラー住宅価格指数331.89 ポイント2026-06-01

※ FRED(セントルイス連銀)より取得。GDP・CPI・雇用統計は四半期・月次の公表値のため最新の市場値と異なる場合があります。

S&P500
+0.44%
NASDAQ100
+0.23%
ダウ平均
+0.54%
+1.52%
原油WTI
+0.11%
半導体SOX
+0.23%
Russell2000
+1.18%
ドル指数
-0.14%
VIX
-2.92%
ビットコイン
+0.13%

今後の重要経済指標

日付時刻(ET)重要度指標名予想前回
2026-09-0208:00☆中FRB ウィリアムズ総裁(NY連銀) 発言
2026-09-0214:00☆中FRB地区連銀経済報告(ベージュブック)
2026-09-0308:30☆中FRB ウォラー理事 発言
2026-09-0310:00☆中ISM非製造業景況指数 雇用指数47.4
2026-09-0310:00☆中ISM非製造業景況指数 新規受注指数57.2
2026-09-0310:00☆中ISM非製造業景況指数 価格指数70.3
2026-09-0315:00☆中FRB ハマック総裁(クリーブランド連銀) 発言
2026-09-0408:30★高平均時給(前月比)0.3 %0.1 %
2026-09-0408:30★高平均時給(前年比)3 %3.2 %
2026-09-0408:30☆中労働参加率61.4 %
2026-09-0408:30☆中U6失業率(不完全雇用率)7.9 %
2026-09-0408:30☆中失業率4.1 %4.1 %

※ 時刻は米国東部時間(ET)。発表内容によって市場が大きく動く可能性があります。

昨晩の値動きを受けて、保有資産の評価額はこの後の為替の影響もありますが、現時点では次の基準価格更新で約5.6万円の減少になる見込みです。SPYもQQQも小幅高でしたが、円高がその分を相殺した格好です。ビットコインが沈み金が独歩高という今日の記事のテーマそのままに、市場全体がリスクオフに傾いた一日だったと感じます。

記録上の含み損益は+294万円と引き続き高水準を維持しており、攻め資産中心の配分でも一喜一憂する場面ではないと改めて思います。Fear & Greed指数が「恐怖」に沈むような局面こそ、積立投資家にとっては淡々と継続することの価値が試される時だと捉え、いつも通りの姿勢で9月相場を見ていきたいと思います。


※本記事は投資情報の提供を目的としており、特定の金融商品の売買を推奨するものではありません。投資判断は必ずご自身の責任において行ってください。

ABOUT ME
エクラ
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40歳を過ぎたことをきっかけに、本格的に資産形成を開始。現在は投資信託を中心に、長期・分散・積立を軸とした運用を行っています。 年収の40%以上を投資に回しながら、実際の運用を通じて得た気づきや考えをもとに、資産形成や長期投資について発信しています。 短期の値動きに一喜一憂せず、タイミングよりも継続を重視するスタンスで取り組んでいます。
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