原油高とVIX急落のねじれ、市場心理をどう読むか

エクラ

きょうの資産状況

項目9月7日 終値時点
前日比-5,884円(-0.06%)
含み損益率+36.65%

前日比-5,884円、投資方針は変わらず継続していきます。

Fear & Greed Index

※ 投資信託の基準価額ベースの実測値です。基準価額は約定日の夕方に確定するため、この記事が扱う前夜の米国市場の値動きはまだ反映されていません。

本日の注目指標:Fear & Greed指数(恐怖と強欲指数)

Fear & Greed指数は42と「恐怖」領域に沈む。強気一辺倒だった相場心理に陰りが見え始めた今、投資家は何を警戒しているのか。

中東情勢の緊迫化がエネルギー市場を通じて実体経済に波及し始める一方、株式指数は目立った動揺を見せていません。この「ねじれ」をどう読むかが、来週のインフレ指標発表を前にした最大の論点です。イランと湾岸諸国の応酬、原油関連ETFの上昇、そして9月10日・11日に控える生産者物価指数(PPI)・消費者物価指数(CPI)の発表を前に、投資家が注視すべきポイントと、楽観視できない理由を整理します。

なお本稿の市場動向に関する記述は、当日終値データの取得ができなかったため、直近7日間30日間の累積トレンドに基づく分析であることをあらかじめお断りしておきます。

イラン・湾岸諸国の応酬とエネルギー供給リスク

ロイター(Reuters)は、イランが最新の衝突を受けて湾岸地域の米エネルギー資産の脆弱性を警告したと報じました。これに対しUAEは、自国のエネルギー輸出はイランとの紛争の「人質」にはならないと明言し、供給継続への強い意志を示しています。さらにオマーンは、イランの攻撃を受けたサウジのSidr号の乗組員16人を避難させたと発表しました。攻撃が発生した具体的な海域については報道で明らかにされていませんが、湾岸産油国の船舶が実際に攻撃対象となった事実は、供給網リスクが机上の懸念ではなく現実のものであることを示しています。湾岸地域の株式市場はこうした情勢下でまちまちの反応となり、市場参加者の間でもリスク評価が定まっていない様子がうかがえます。

なお、サウジアラビアがIAEA(国際原子力機関)に対しこれまで以上に踏み込んだ査察権限を付与する準備を進めていると報じられている点、英国のバーナム氏とトランプ大統領がウクライナ・ロシアの停戦に向けた協議を行ったとの報道がある点は、いずれも原油供給網とは直接の関連は薄いものの、中東・欧州情勢の複数の火種が同時進行している証左として留意しておく価値があります。特にIAEA査察の進展は、将来的な地域の核開発を巡る緊張緩和・再燃いずれの方向にも作用しうるため、中長期的な地政学リスクの構成要素として注視が必要です。

一方で中国の原油輸入は8月も弱含みが続いています。これは供給懸念による価格上昇圧力の一部を相殺しうる要因ですが、中国の需要動向はマクロ経済減速を映したものであり、供給ショックが引き起こす価格変動を完全に打ち消すほどの規模かどうかは現時点で判断が難しく、今後の需給バランスを占う上で継続的な確認が必要です。

原油ETFの急伸とVIX急落の「ねじれ」が示す警戒信号

資金フローの観点で最も注目すべきは、原油ETF(USO)とエネルギーセクターETF(XLE)の力強い上昇トレンドです。USOは過去7日間で9.2%、過去30日間では13.8%上昇しており、中東情勢の緊迫化を背景にした供給懸念が価格形成の主因とみられます。XLEも7日間で2.8%、30日間で9.8%の上昇となっており、原油高を受けてエネルギー企業株への資金流入が続いていることがうかがえます。

一方で見過ごせないのは、VIX関連ETF(VIXY)が過去7日間で2.0%、過去30日間では20.5%もの下落トレンドにあることです。本来であれば地政学リスクの高まりは恐怖指数の上昇要因となりますが、実際には投資家心理は落ち着きを維持しています。この乖離は「供給ショックの影響がエネルギーセクターに限定され、金融システム全体へのリスク波及とは市場が捉えていない」という楽観的な解釈も可能ですが、同時に「市場がリスクを過小評価している」「オプション市場のポジション調整や先物ロールの歪みなど、VIXY特有の技術的要因が実勢心理を覆い隠している」といった懐疑的な見方も排除できません。地政学リスクとボラティリティ指標の乖離は、過去の局面でも往々にして株式市場のラグ(時間差での急落)を伴ってきた経緯があり、現状の落ち着きを過信するのは危険だと考えます。

金ETF(GLD)は7日間で3.7%の下落となった一方、30日間では8.6%の上昇を維持しており、短期的な利益確定売りが出た可能性はあるものの、中期的な地政学ヘッジ需要そのものが消失したとは言い切れません。ドル指数ETF(UUP)は7日間でわずかに上昇(+0.2%)した一方、30日間では1.8%下落しており、方向感に乏しい状態です。本来、地政学リスクの高まりは安全資産としてのドル買いを誘発しやすい局面ですが、そうした動きが明確に表れていない点は、ドルの「危機時の避難先」としての地位が相対的に低下している可能性を示唆しているとも考えられ、今後の展開を注視する必要があります。

SPY・QQQ・DIA・SOXX・IWMはいずれも7日間で横ばいから小幅下落にとどまっており、これを「中東リスクを織り込み済み」と見るか、「反応が遅れているだけ」と見るかは意見が分かれるところです。少なくとも、株式市場の落ち着きをもって地政学リスクが後退したと判断するのは早計でしょう。ビットコインも7日間は横ばいですが、30日間では23.1%の大幅上昇を維持しています。これをリスク資産としての底堅さと評価する向きもありますが、暗号資産は本来ボラティリティが高く、地政学リスクが本格的な株式市場の調整局面に発展した場合には、他のリスク資産と同様に急落する可能性がある点も念頭に置くべきです。

PPI・CPI発表とFOMC・SEPが示す政策の分水嶺

7月29日のFOMC(連邦公開市場委員会)声明では、FF金利(フェデラルファンド金利、銀行間の短期貸出金利)の誘導目標を3.50〜3.75%に据え置くことが9対3の票決で決定されました。反対票を投じたクリーブランド連銀のハマック総裁、ミネアポリス連銀のカシュカリ総裁、ダラス連銀のローガン総裁の3名は0.25%の利上げを主張しており、FRB内部でタカ派的な意見が根強いことが明らかになっています。声明文は、中東紛争を含む不確実性の中でも経済活動は堅調に拡大しているとしつつ、エネルギー分野を中心とした供給ショックがインフレを押し上げていると明記しました。次回会合でこの3名の主張に他の委員が同調する展開になれば、市場が織り込む利下げ路線が大きく修正されるリスクがある点は留意すべきです。

6月17日発表の経済見通し(SEP)では、2026年末のFF金利中央値が3.8%となり、3月時点の見通しから0.4ポイント上方修正されています。これは25bp(ベーシスポイント、0.01%)換算で利下げ期待が2回分後退したことを意味し、コアPCEインフレ見通しも3.3%0.6ポイント引き上げられました。ウォーシュ氏は2026年5月22日にFRB議長に就任しており、このSEPおよび7月29日のFOMC声明はいずれもウォーシュ体制下でまとめられたものです。就任早々からタカ派色の強い見通しと反対票の存在が示されている点は、同氏率いるFRBのインフレ警戒姿勢の強さを物語っていると言えるでしょう。

こうした背景の中、9月10日のPPI(前年比予想5.3%、前回4.7%)、9月11日のCPI(前年比予想3.4%、コア2.4%)の発表が次の焦点となります。原油高が続けばエネルギー項目を通じてこれらの指標を押し上げる可能性があり、以下のようなシナリオが想定されます。

  • 予想を上回った場合:FRBのタカ派転換観測が一段と強まり、利下げ期待の一段の後退、長期金利の上昇、株式市場(特に金利敏感なグロース株・半導体セクター)への下押し圧力が想定されます。原油高との相乗効果でエネルギーセクターへの資金集中がさらに強まる可能性もあります。
  • 予想を下回った場合:供給ショックの影響が限定的であるとの見方が広がり、株式市場にとって安心材料となる一方、原油高自体は継続する可能性があるため、インフレ鎮静化と地政学リスクの綱引きが続く展開が予想されます。
  • 予想通りだった場合:市場の反応は限定的となる可能性が高いものの、コア指標(食品・エネルギーを除く前年比)の推移がFRBの次回会合でのスタンスを左右する材料として引き続き注目されるでしょう。

まとめ:投資家が実際に確認すべきポイント

直近の値動きを俯瞰すると、中東情勢のエスカレーションという地政学リスクと、エネルギー価格上昇というインフレ要因を抱えながらも、株式指数全体は比較的落ち着いた推移にとどまっています。しかし、これを手放しの安心材料とみなすのは早計です。VIX関連指標の下落と原油高の乖離は、市場がリスクを過小評価している可能性を示す警戒信号としても読めますし、ドルが地政学リスク下で明確な買われ方をしていない点も、従来の「有事のドル買い」というセオリーが揺らいでいる兆候かもしれません。

個人投資家としては、次の3点を具体的に注視することを提案します。第一に、原油価格(USO・XLEの推移)がPPI・CPIのエネルギー項目にどの程度波及するか。第二に、CPIコア指数が予想の2.4%を上回るか否か(上回れば利下げ観測後退・株式調整のリスクシナリオが現実味を帯びます)。第三に、VIXY・GLDなどのヘッジ資産が原油高・地政学リスクの再燃時にどう反応するか、その反応速度と方向性です。エネルギーセクターへの資金集中と株式市場全体の落ち着きの乖離が今後どちらの方向に収斂するのか、来週のインフレ指標発表とその後のFRBの反応を注意深く見極める姿勢が重要だと考えます。

今後の重要経済指標

日付時刻(ET)重要度指標名予想前回
2026-09-1008:30☆中生産者物価指数(前月比)0.4 %0 %
2026-09-1008:30☆中生産者物価指数(前年比)5.3 %4.7 %
2026-09-1008:30☆中生産者物価指数(食品・エネルギーを除く、前月比)0.3 %0.2 %
2026-09-1008:30★高生産者物価指数(食品・エネルギーを除く、前年比)4.6 %4.2 %
2026-09-1108:30★高消費者物価指数(前月比)0.4 %0.1 %
2026-09-1108:30★高消費者物価指数(前年比)3.4 %3.4 %
2026-09-1108:30★高消費者物価指数(食品・エネルギーを除く、前月比)0.2 %0.2 %
2026-09-1108:30★高消費者物価指数(食品・エネルギーを除く、前年比)2.4 %2.5 %

※ 時刻は米国東部時間(ET)。発表内容によって市場が大きく動く可能性があります。

昨晩は米国市場が休場でした。冒頭の表は9月7日時点の実測値ですが、為替の変動分のみ基準価格が更新されるため、この後の為替の値動きにもよりますが、現時点の為替で計算しますと、次の基準価格更新で保有資産のポートフォリオはおおよそ10万円ほどの減少となる見込みです。USD/JPYが1%近く円高方向に振れたことによる影響で、株価自体が動いたわけではありません。9月7日時点で含み損益は+36.65%、攻め資産の損益率も+38.58%と積み上がっており、この程度の為替変動は誤差の範囲だと捉えています。

こういう休場明けの為替だけの変動は、正直なところ材料に乏しく、一喜一憂する対象にはなりません。S&P500への積立を続けている以上、日々の評価額の増減は通過点に過ぎず、記録として淡々と残しておくだけで十分だと考えています。引き続き、変わらぬペースで積立を継続していきます。


※本記事は投資情報の提供を目的としており、特定の金融商品の売買を推奨するものではありません。投資判断は必ずご自身の責任において行ってください。

ABOUT ME
エクラ
エクラ
40歳を過ぎたことをきっかけに、本格的に資産形成を開始。現在は投資信託を中心に、長期・分散・積立を軸とした運用を行っています。 年収の40%以上を投資に回しながら、実際の運用を通じて得た気づきや考えをもとに、資産形成や長期投資について発信しています。 短期の値動きに一喜一憂せず、タイミングよりも継続を重視するスタンスで取り組んでいます。
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